住まいの設計

【現在進行形】小さな家の完成ストーリー

藏岡 三郎

みなさん、住まいづくりは決まった一つの方法しかないとお考えではないでしょうか?私は家族それぞれに理想とする住まいづくりアプローチがあると思います。ある特定の方法しかないと考えてしまうのは実は住宅会社の営業戦略なだけではないでしょうか。なぜならその方が住宅会社は沢山そして楽に多くの売上をあげることができるからです。私は20年以上の設計業務の中で直接依頼または住宅会社の中の人としても住宅を設計してきました。この記事では現在計画中のミニマリスト設計士の住まい(自宅)づくりと一般的な住まいづくりの比較を説明します。この記事を読むと住まいづくりがもっと自由で、もっと楽しいものであることがわかります。また私達の小さな家の完成までを一緒に追体験することができます。

藏岡 三郎
藏岡 三郎

みなさん、こんにちは。藏岡です。実は現在、人生二回目の自宅の建築に取り組んでいます。この記事は私が進めている住まいづくりの進捗ストーリーを書いていきます。

ミニマリスト設計士の住まいづくり

家族会議

私の場合、先ず家族で理想の住まいについて話し合うことから始めました。どんな家に住みたいか、どんな暮らしをしたいかを家族と共有することが大事。ここはじっくりと時間をかけても良いところです。妻は初めて住まいづくりをするので、私が設計した住まいを数軒一緒に見に行ってどんな暮らしをしたいか具体的なイメージを考えてもらいました。

FP・信用金庫面談

次は総予算の検討ですね。私は土地を所有していない為、土地の購入が必要です。そのため土地・建物・諸経費を含めた総予算を算出し、土地〇〇万円、建物〇〇万円と具体的に割り振ります。最初のステップは毎月の家計支出と資産状況のチェック。またその他ローン(マイカー、奨学金、リボ払い等)の借入額を把握しましょう。私の場合は年収約600万円、ローン無、金融資産は約1000万円でした。これらの情報をまとめてからファイナンシャルプランナー(以下FP)と面談します。FP面談のメリットは第三者の目線でどれくらい住宅に資金を充てられるかのアドバイスを貰えることですね。銀行が提示する貸付可能額は返済可能額ではありません。銀行は沢山借りて長く金利分を上乗せして払ってくれる人が大好きです。銀行が貸してくれるなら大丈夫!と鵜呑みにしてはいけません。大企業社員・公務員ではない自分の場合、住宅ローン借入先はメガバンクや地方銀行ではなく信用金庫一択となりました。

土地選定

予算の大枠が決まりましたら土地探しを開始します。土地がないと設計に着手できませんのでココが一番モヤモヤしますね。私の場合は知り合いの不動産業者に希望を伝えて探してもらいながら、定期的に土地情報をインターネットでチェックしていました。焦らずに気長に待ちましょう。人気のエリアの土地は市場に出る前に売買されてしまうこともあります。情報を目にしたらすぐに連絡をいれて購入意思があることを示しましょう。

【ココを見る】ミニマリスト設計士が見る土地選びのポイント7選
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基本設計・概算見積作成

基本設計とは住まいの全体像を設計するフェーズです。1/100の平面図、立面図、断面図、内観及び外観パース等を作成します。他の設計士はわかりませんが、私の場合は最初からPCで図面を描くことはせず、未だに紙と鉛筆を使って設計しますね。その方が作り直しが少なく、着実に前進させることができるからです。この時、設計図と共に概算見積を作成し予算の一次チェックも行います。私の基本設計のプロセスは下記から詳細をお読み頂けます。

ミニマリスト設計士が住まいを設計する時に考えていること
ミニマリスト設計士が住まいを設計する時に考えていること

実施設計・建築確認申請手続

実施設計とは工事をする大工さん等の施工者が見る工事用図面を作成するフェーズです。柱がどこにあるのか、基礎コンクリートの強度など細かな内容が図面に示されています。また壁紙やフローリングの色柄等の情報も書き込みます。その為、この時期は住宅設備会社のショールームでの打合せや使用する建材のカットサンプルをとって時間をかけて打合せを行います。確認申請とは工事が始まる前に建築基準法に違反していないかの審査のようなものです。またそれとは別に長期優良住宅申請やBELS申請等も存在します。これらの認定は補助金支給条件になるため工事開始前に認定してもらう必要があります。

工務店見積書作成依頼・契約

実施設計図面が完成したら3社の工務店に見積もり作成を依頼します。相見積もりと呼ばれるものです。これは3社分の見積書を比較し、適正な金額かどうかをチェックするためです。この際工事範囲があいまいになっていると後々トラブルに発展する為、特に注意が必要です。予算内に納まる様に設計内容を調整した後に工務店と工事請負契約を交わします。

着工・現場監理・引渡

工事が始まっても設計者の仕事は終わりではありません。定期的に工事が図面通りに進んでいるかの現場チェックが必要です。図面に書ききれなかった内容や施工上の問題点・改善点を現場で職人さんと話して工事を進めます。職人さん達と顔馴染みで人間関係ができていると工事もスムーズに進むため、信頼できる工務店さんとは繋がりを持つようにしています。

一般的な住まいづくり

それではこれまで私が見てきた一般的な住まいづくりの流れを簡潔に説明します。土地の有無、家族構成など住まいづくりの環境・条件は毎回異なります。全ての家族にこの流れが当てはまるわけではありません。省略している部分もありますのでご理解下さい。それではいってみましょう。

住まいをつくろう!と決める

このフェーズは設計担当したお客様から実際に聞いた内容から書いています。ほとんどの方が賃貸住宅にお住まいで、お子さんの出産や転勤がない部署に異動になったなどの理由から新築戸建てを建てようと決意されたと聞きました。住まいづくりは何から始めたらよいかわからない方が多く、インターネットで情報収集して問い合わせや紹介などで我々までたどりついたとのことでした。

住宅会社選定・提案受領

候補に挙げた住宅会社にコンタクトをとり設計提案を受けましょう。これを我々はファーストプランと呼んでいます。この時点では土地を所有していない場合もよくあります。土地が無い場合は土地から提案してもらう事も可能です。このファーストプランは契約をとる為の営業的要素が強く、予算を大幅に超えたり、見栄えが良すぎる場合もあるのでご注意下さい。この提案内容・営業マンの対応・予算等から住宅会社を絞っていきます。

住宅ローン仮審査・本契約

住宅会社の多くの営業さんは早い段階から住宅ローンの仮審査を提案してきます。これは良い土地が出たとしても仮審査を通っていないと申込ができなかったり、そもそも予算をたてられないからです。住宅会社と銀行は別の為、住宅会社が変わっても審査内容は残るケースがほとんどです。余程の理由がない限り、個人的には仮審査手続きは進めておいて損はないと考えます。どこの銀行に頼めばよいかわからくても大丈夫。営業さんが年収や資産状況から適正な銀行を紹介してくれます。

住宅会社契約・詳細打合

住宅会社の提案内容と工事金額に合意できたら工事請負契約を締結します。しかし工事金額の妥当性をチェックする仕組みはないのが現状です。その後、詳細打合せに入ります。ここではキッチン等の住宅設備の仕様や内装フローリングの色柄等を決めていきます。よくSNSの投稿にあるオプション選定などはこのフェーズですね。実際に商品をショールームに行って確認することが多いです。

着工・工事・引渡し

工事が始まると設計者の出番はほどんどなくなる事が多いです。住宅会社内にいる現場監督さんにバトンが渡り、設計者が工事現場に呼ばれるのは建築確認申請検査の時くらい。現場に設計者が呼ばれない理由はいくつかありますが、設計人件費用を削りたい、監督が設計士にチェックされるのを嫌がる等がありますね。設計士からすると現場も関わりたいというのが本音です。特別な許可などがなければ約4か月ほどで工事が完了し引渡しとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。改めて二つを比較してみると様々な違いがあることに気づきます。「それはあなたが設計士だからできることで私達には無理」という声が聞こえてきそうですが、ここでお伝えしたいことは「住まいづくりはもっと自由で楽しい」ということです。有名建築家に依頼するのも、大手ハウスメーカーに依頼するのも皆様の自由です。皆様の価値にフィットするなら正しい選択だと思います。私はミニマリズムに出会って自分にとって大切な物に気づくことができました。その価値感にフィットする住まいづくりを引き続き発信していきます。

最後まで読んで頂きありがとうございました。藏岡三郎でした。

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藏岡 三郎
藏岡 三郎
一級建築士
設計歴20年以上の一級建築士
離婚を機にミニマリズムに目覚める。
現在小さなミニハウス(自宅)を設計中。
神社巡りが好き。自宅の神棚で朝晩お参りが日課。
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