リビングルームの設計ポイント5選とミニマリスト設計士のこだわり5選
皆さん、こんにちは。藏岡です。住まいで長時間滞在する部屋といえばリビングルームですよね。この記事ではそんなリビングルームの設計ポイントをお伝えしますね。
皆さんはどんなリビングルームがお好きでしょうか。私は昼間は窓から明るい陽光がはいってきて暖かく、風がソヨソヨと流れている。夜は落ち着いた雰囲気で家族と話している。そんな過ごし方が好きです。私は20年以上建築設計に携わってきました。また数年前からミニマリストとして生活しています。この記事ではリビングルームの設計のポイントをご説明します。さらにこの記事を読むとミニマリスト設計士のこだわりポイントもわかります。
リビングルームの設計ポイント5選
土地の特等席に配置する
リビングルームは暮らしの中で長い時間滞在する部屋。そこには明るさや開放感があるといいですよね。昼間も薄暗くジメジメとしたリビングルームを希望する方は20年以上の設計歴の中でも一人もいませんでした。そのため土地の中で一番陽当たりがよい場所、視線の抜けがある場所つまり特等席に配置します。陽光や心地良い風は外から入ってきますから。設計の手順については下記の記事から詳細をお読み頂けます。
外の繋がりを意識する
明るい陽光や心地良い風は外から入ってきます。と上の項目でお話しました。ここで説明する外とは庭、ウッドデッキ、テラス、バルコニーといったスペースを指します。繋がりの強さは窓の大きさによって強弱が分かれます。画像の様に全面繋がっていると外(バルコニーやウッドデッキ)がリビングの一部として感じられますね。外をまるで部屋の一つのように扱う設計も多様します。具体的には外まで壁や天井を延長させて近い色に仕上げるといった設計です。
動線を整理する
動線とは人が通る道の様なものです。リビングルームに家族が入ってくる際、毎回毎回ソファで向かい合って談笑している間を通っていては落ち着かないですよね。これは動線が交差している状態です。ドアや窓の位置を工夫すれば落ち着きのある巣のようなスペースを設計することができます。リビングルームは座るスペースとも言えます。リラックスしてくつろげるスペースを目指しています。
視線の抜けをつくる
私がポイントとしている視線の抜けは二種類あります。窓の外を眺めて抜ける「外の抜け」と室内で見通せる「内の抜け」の二種類。「外の抜け」は眺めがよく遠くまで見える事や近くの公園の緑が見える事等ですね。設計する前に必ず土地を訪れるのはこの抜けを探すためです。「内の抜け」は部屋内で端から端までを視線がスーッと抜けるポイントを設計します。このポイントは室内で座ってくつろいでいる瞬間に感じられる様にしています。平面的なだけでなく、吹抜け越しに見上げられたりする抜けも有効です。
風の通り道を確保する
全館空調や機械式換気が全盛の現代において自然通風はロスも多く前時代的な遺物かもしれません。それでも私は春や秋といった季節のよい時期は窓をあけて外の新鮮な空気で換気したいと考えてしまいます。皆さんはいかがでしょうか。因みに私はお風呂上りに窓を開けて外気にあたるのが好きです。勿論寝巻きは着ています。風の通り道とは窓を二か所以上配置して風の入口と出口を設計することです。しかし南面以外の窓は断熱設計の観点からは小さくするのが鉄則です。私が設計する場合、南面以外の窓は幅600㎜位に抑えています。
ここまでは私がリビングルームを設計する際のポイントを挙げました。次はミニマリスト設計士としてこだわっている点をお伝えします。お施主様と打合せをしていく中で機会があれば提案している内容です。それではいってみましょう。
ミニマリスト設計士のこだわり5選
大きなソファは置かない
大きなソファ。皆さんは必要ですか?私達は・・不要という結論になりました。以前は使っていましたが結局ソファを背もたれにして床に座っていました。ソファはそれ自体の存在感が大きく部屋が狭くなったように感じてしまいます。その為フカフカのラグと小さめのクッションソファを配置して床座のリビングとする予定です。この方式はゴロゴロとリラックスして過ごす以外にもヨガやストレッチをしたり様々な使い方に対応できるというメリットもあります。
吹抜けにする
吹抜けにする理由は空間の開放感と空気の循環です。ミニハウスは横の広がりが一般的な住まいより控え目です。そこで吹抜けにして縦の広がりをもたせて開放感を向上させます。吹抜けがあると陽光が2階から降り注ぎ部屋がより一層明るくなります。また一階と二階が大きく繋がっている為、重力による空気循環が期待できます。吹抜けは冷暖房計画上弱点になると言われています。しかしミニハウスは全館空調を取り入れています。むしろ吹抜けがあった方が部屋の隅々まで空気が行きわたり易くなるのです。
ダイニング・キッチンと密着させる
密着です。隣同士にする・近づける。という表現ではなく密着。対面形式のキッチンはキッチン専用の作業スペースが必要になるため、床の利用効率は下がってしまいます。限られたスペースを有効活用するミニハウスでは壁付け形式のキッチンはいかがでしょうか。壁付け形式だとキッチンがその他の部屋と分離されない。食事をつくる時はみんなでつくり、みんなで食べて、みんなで片付ける。家族の仲が良くなりそうですね。そんなことしたらキッチンが丸見えで恥ずかしい!と言われますが、ミニマリストは片づけるものが少ないので簡単に元通りになるんです。リビングの中にキッチンとダイニングが入り込んでいるようなイメージで設計しています。
何もない大きな面をつくる
私はリビングのどこかに何もない大きな面を設計する様にしています。面とは壁や天井といったフラットな面のことです。みなさんの住まいの壁や天井にはコンセントや照明器具等がついていると思いますがこれらを別の場所に移動するだけでミニマムな面ができあがります。吹抜けの中にある一階から二階までつながった壁は広がりを感じさせると同時にミニマムで洗練された印象を与えます。
一段深い設計にする
「一段深い設計」とは使い方まで一段踏み込んで計画に取り入れる設計です。一般的の住まいを設計する際は、あるライン以上は住まわれる方に使い方を委ねる事がほどんどです。余白を残すというか、ざっくり設計し自由にアレンジしてもらう。というスタンスですね。スペースが限られたミニハウスではその余白を減らし、具体的な暮らし方を設計側で用意します。例を挙げると座る場所です。一般的な住まいではソファを置き、大きさや置く向きを設計段階で決めます。ミニハウスの場合、ソファは置かず部屋の一角に造作ベンチを設計します。ベンチは部屋の壁にくっついているので後から動かすことができませんね。しかし固定している分少ないスペースでゆったりと座ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。リビングルームを設計するポイントを合計10点お伝えしました。前半の5つは外との繋がりや風の通り道など分かり易いポイントでしたね。後半5点はミニマリスト設計士としてこだわっている点でした。何もない面やソファのないリビング等イメージしにくい点もあったかと思います。その点は実際に設計した自宅設計図をお見せする際に詳しく説明したいと思います。
リビングルームは家族がリラックスして長い時間過ごす大切な部屋です。この記事が少しでも参考になると嬉しいです。最後まで読んで頂きありがとうございました。藏岡三郎でした。